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スターリングラードの戦い 占領の証36

「たしかに、地上より安全だな」
「ですが、若干遠回りのルートでして、時間がかかります」
「まあ、それは仕方ないだろう。そんなことより・・・みんな、それでいいか?」
 軍曹が改めてソコロフ達に問いかけてきた。
『もちろんです』
「キース、先導してくれるか?」
「はい」
「よし、キースの先導で、下水道ルートでトラクター工場の中隊本部に向かう。各自、装備の確認を。不足しているのならば、味方の死体から取ってこい」
 丘の頂上にそびえ立つジオン公国軍の旗。その「占領の証」が引きずり降ろされるのは、そう遠くはないということを、ソコロフは予感していた。

theme : 自作連載小説
genre : 小説・文学

スターリングラードの戦い 占領の証35

 イワノフとアレクセイが中隊本部に連絡して数分後・・・・・。
「ダメです。つながりません・・・」
 回線が混雑しているのか、あるいは中隊本部が消滅しているのかは分からなかったが、何回やってもつながらなかった。
「本部を探しに行ってみては?」
「ダメだ。下手に動くと敵に晒されるし、万が一人民委員に見つかったら間違いなく射殺される。そうなっては元も子もない」 
 市街地にはジオン兵と人民委員がたくさんいる。
「どこかに行くよりもまだここでじっとしている方がマシだ。とりあえず、さっきの所に戻ろう」
 無線機を手に入れたものの、結局中隊本部にはつながらなかったので、先ほどの地下に戻ることにした。
「さて、どうするか?、だ」
「こんな人数で・・・一体何が・・・」
 静かになった。ふと、何かが聞こえてきた。
「無線が、聞こえます・・・」
 ノイズがかなり混じりながらも、少しずつ聞こえてきた。割と野太い。
「・・・・これ・・・・ズボフ少佐だ・・・・」
「ってことは、まだ中隊本部は存在しているのか!でかした!」
『―――――――繰り―――返す―――生き残っ――――た――者は―――全員――“シコルスキートラクター工場”―――に、集結―――せよ―――」
 いつの間にか、中隊本部は工場まで後退していた。だが、
「しかし、トラクター工場に向かうには、市街地の敵陣地を突破しないとたどり着けませんよ・・・」
「他に行く方法は・・・」
「下水道でつながっています」
 キースが声をあげた。
「ん?下水道だと?」
「ええ。実は自分、戦前はこの街の上下水道の工事を担当していまして、水道管の配置はほとんど頭に入ってるんです」
 なんと、キースは配管工だった。
「じゃあ、この辺りに下水道があるというのか?」
「はい。たしか、この辺に下水道の合流地点がありまして、そこからトラクター工場へとつながる水道があります」

theme : 自作連載小説
genre : 小説・文学

スターリングラードの戦い 占領の証34

「エルガンはやはり死んだのか・・・」
 ケーニッヒは焦った。戦死したのなら致し方ない。だが、連邦の捕虜となったのならば話は別だ。MSのパイロットと判明すれば、厳しい尋問と、強制的なMS技術の譲渡を迫られるだろう。そうじゃなくとも、我々ジオン公国軍を憎む連邦兵も多いはずだ。尋問以前に、その場で射殺される可能性がある。
「ザクの無線はオンライン・・・」
 MSとしての行動がとれなくとも、機関部が撃破されていなければ事実上稼働していることになる。救出するために別の部隊を送り込もうと考えたが、砲兵隊が砲撃を始めてしまったので進めない。仮に救出部隊を派遣したとしてもその部隊も全滅するかもしれない。
「レイフェル。機動力のあるMSを丘の固定防衛に使うわけにはいかない。丘にいるザクタンク以外の全MS隊を丘の後ろ側に配置し直し、側面から反撃させろ」
「しかし・・・それでは丘正面の守りが薄くなるのでは?」
 クライン中尉が懸念した。
「それは心配ない。先ほどヨーデルニ少将から2個歩兵大隊を譲ってもらった。それを代わりに配置すれば問題ないだろう」
「了解しました」
「今日は盛大にやらせてもらおう。あまりの砲撃で、スターリングラードの地面が吹き飛ぶぐらい、だ」
 この兵力では、正直に言って“ママエフの丘”を守りきるのは難しい。日に日に増してくる連邦空軍の航空爆撃が守備隊を苦しめている。だからこそ、こちら側も対策を考えた。
 この街に突入してからわずか1ヶ月で丘を要塞へと変えた。麓から塹壕が頂上までギザギザに掘られており、そこには何重にも張り巡らされた機関銃、迫撃砲陣地が街を睨んでいる。そして、頂上付近には大量の実弾砲台とメガ粒子砲がいつでもどこでも支援できるようになっている。誰もがこの丘を登りきることは不可能だと思うだろう。下手に近づけば、頂上の砲兵隊がすかさず砲撃を加え、それでも生き残って接近すれば塹壕からの機関銃の銃撃、迫撃砲の砲撃を浴びせられる。
「入念に座標をチェックして、完璧な射撃ができるように。それと、例の“ザクマシンガン砲台”はどんな調子だ?」
 “ザクマシンガン砲台”とは、撃破されてMSが持つ武器として運用できなくったものの、兵器としては運用できるザクマシンガンを、頑丈な回転式の砲台型に改造して、固定砲台にしたものである。さらに、“ザクマシンガン砲台”は、自動で索敵を行い、捕捉したら勝手に自動追尾して射撃をする、といういわゆる「セントリーガン」のような形態になっているので、そこに人員を割く必要もない。
「ええ。セントリータイプになっています。問題ありません」
「よし。これで全て終わらせる。なんとしてでも、ここを守りきるんだ!」
 口ではそう言いつつも、実際ケーニッヒの本心では確実に突破されるということを確信していた。
(連邦軍は物量にまかせているが、固定陣地を突破できる能力はある。市街地の守備隊が仮に囮だとしたら、本隊は外郭か)
 長引けば長引くほど、着実に連邦軍の反攻の準備が整ってくる。そして逆に我々は消耗し続けて、もし仮に完全占領したとしても、そこからヴォルガ河を渡河して先に進めるかどうかは分からない。最悪の場合、外側から攻め込まれて我が軍が閉じ込められるだろう。そうなれば、部隊は全滅し、東部戦線の南部のミリタリーバランスが変わる。
「さて、牽制攻撃として後方に駐屯している1個歩兵大隊と1個戦車中隊を、例のトラクター工場に差し向るぞ。そうすればいくらか引きつけることもできるだろう」
 正面の突破攻撃による負担を減らすべく、まだ攻撃を続けているトラクター工場に増援を送ることにした。そうすれば、敵が手薄な工場近辺が一気に制圧でき、連邦軍もまたそれを奪回すべく兵力の一部をそちらにまわすハズだ。
「さて、私もザクで出る。レイフェル、クライン。一緒について来い!」

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genre : 小説・文学

スターリングラードの戦い 占領の証33

「ふぅ・・・やっと出れた・・・」
 ため息をつきながら、イワノフは出てきた。
「イワノフ、怪我はないか?」
「いえ、大丈夫です。ただ・・・」
 暗い表情で窓を指差した。その方向には、倒れた柱に押しつぶされた無線機があった。
「ちょうど柱が自分に倒れてきて、ギリギリの所で止まったのですが、代わりに無線機が犠牲に・・・」
 二度目であった。
「まあ、仕方ないだろう。命だけでも助かったのだから」
 とはいえ、他の部隊や中隊本部との連絡方法を失った。
「他に生き残りがいるかどうか、探すぞ」
 道路には味方の死体が大量に転がっているが、もしかしたらソコロフのようにビルの中で運よく助かった者がいるのかもしれない。持ち合わせていた包帯を簡単に巻いたキッパー軍曹も、「動ける」と言って捜索に加わった。

 
 捜索すること数十分・・・。死体しかいないように見えたが、2人ほど見つけることができた。どちらもガレキに埋もれていなのではなく、奇跡的に通りにいながらも砲撃の雨の中を生き残ったのだ。
「それで、名前は?」
「ディミトリー・ペトレンコ二等兵であります」
「アレクセイ・イワノビッチニ等通信兵であります」
「通信兵?」
 アレクセイという名の兵士の背中には無線機が背負っていた。
「はい。ですが自分はまだ徴兵されたばかりで・・・」
「大丈夫だ。今は持ってないけど、俺も通信兵だ。教えてやる」
「ありがとうございます」
「おっと・・・敬語はいらないぞ。俺はイワノフ。お前と同じ二等兵だ」
「ソコロフ二等兵だ。よろしく」
「そして俺がミック二等兵だ。バズーカは持ってないけど、対戦車兵だぞ」
「私がこの分隊の隊長、キッパー軍曹だ」
 皆それぞれが簡単な自己紹介をした。
「挨拶これでいいとして、問題なのはこれからどう動くかだ」
 砲撃と人民委員の攻撃のせいで部隊が激減した今、たったこれだけで攻勢に出るなど無茶な話である。
練度の低い連邦兵が続々と投入されて、その分だけ死んでいく。まともな戦いもできずに死んでゆく戦友の姿を見て、ソコロフは不審に思った。
(人民委員が監視でいるのは分かるが、部隊に退却をさせないというのはどういうことなんだ・・・)
 この通りで先ほどの砲撃と人民委員の銃撃で死んだのは4、50人ほど。わざわざ突撃をするのではなく、効率的に動いた方が得なはずだが、やはり人民委員は突撃を繰り返している。
(だとすれば、突撃以外の戦法がこの練度の低い部隊には通用しないということか)
 いつの時代も、兵士は訓練しなければどんな事を頭に叩き込んでも実践することはできない。つまり、今いる部隊はただ単に徴兵されて集合し、そこで軍服に着替えて列車や車で戦地に移動し、そこで降ろされて銃火器を渡されて、そのままわけも分からず攻撃する、という酷い状態なのだ。
「とりあえず、中隊本部に連絡しましょう」
「ああ、そうだな。アレクセイ、イワノフ。無線で中隊本部を呼び出してくれ」
 中隊本部がどこに存在するかも分からない。もしかしたらすでに壊滅している可能性もある。

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genre : 小説・文学

スターリングラードの戦い 占領の証32

 ガレキの山を駆け上がり、再び外の様子を見てから出た。先ほどまで通りを闊歩(かっぽ)していたジオン軍の部隊は去っており、残っているのは片付けられていない連邦兵の死体や撃破された装甲車が残っているだけだった。通りがこうなっている以上、イワノフが死んでいる可能性はかなり高い。
「・・・・反対側か・・・」
 向かい側に着くまで10秒もかからなかった。誰もいないゴーストタウンと化した通り一帯は、砲撃や爆撃の音が遠くから聞こえるだけだった。
「こりゃあ、イワノフが生きている確率は・・・」
 イワノフが隠れていると思われるビルは、メガ粒子砲の砲撃で半壊しており、正面の玄関から入ることができなかった。
「他に入口は・・・」
 窓から入るには危険すぎる。正面から入る必要がありそうだ。
「なんとか突き刺さった柱をどかさないと・・・」
 そう考えていた時、ビルの中から何か音が聞こえた。物をどかすような音がした。
「・・・イ、イワノフか?」
 キースがそっと音のする方向に声をかけた。いや、間違えて声を出してしまった。もしかしたら、中にいるのはイワノフではなく、味方のメガ粒子砲の砲撃で生き埋めになりかけたジオン兵が、脱出を図ろうとしているのかもしれない。だが、その不安はすぐに消し去った。
「キース?キースなのか!?」
 声ですぐ分かった。やはりイワノフだ。
「ああ、俺だ。キースだ。それに、ソコロフもいる」
 安堵の表情を浮かべたが、まだ安心はできない。
「だったら、助けてくれ!出れないんだ!」
「分かった分かった。今助けるから頼むからわめかないでくれ。敵に見つかると厄介になるからな」
「・・・ああ、すまない」
「それと、ソコロフ、軍曹たちを呼んで来い」
 さすがに2人でガレキをどかすのは無理がある。結局、隠れていた軍曹たちも来ることになった。

 こうして、クレシフが機関銃で、軍曹が手持ちのアサルトライフルで援護し、残りの3人(ソコロフ、キース、ミック)がガレキをなんとか片付け、イワノフを助け出した。

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Author:すけさん
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職業 鉄道員
趣味 ガンダム・ 旅行・鉄道

好きなアニメ ガンダム系
好きな映画 プライベートライアン ブラックホークダウン
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