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スターリングラードの戦い 占領の証33

「ふぅ・・・やっと出れた・・・」
 ため息をつきながら、イワノフは出てきた。
「イワノフ、怪我はないか?」
「いえ、大丈夫です。ただ・・・」
 暗い表情で窓を指差した。その方向には、倒れた柱に押しつぶされた無線機があった。
「ちょうど柱が自分に倒れてきて、ギリギリの所で止まったのですが、代わりに無線機が犠牲に・・・」
 二度目であった。
「まあ、仕方ないだろう。命だけでも助かったのだから」
 とはいえ、他の部隊や中隊本部との連絡方法を失った。
「他に生き残りがいるかどうか、探すぞ」
 道路には味方の死体が大量に転がっているが、もしかしたらソコロフのようにビルの中で運よく助かった者がいるのかもしれない。持ち合わせていた包帯を簡単に巻いたキッパー軍曹も、「動ける」と言って捜索に加わった。

 
 捜索すること数十分・・・。死体しかいないように見えたが、2人ほど見つけることができた。どちらもガレキに埋もれていなのではなく、奇跡的に通りにいながらも砲撃の雨の中を生き残ったのだ。
「それで、名前は?」
「ディミトリー・ペトレンコ二等兵であります」
「アレクセイ・イワノビッチニ等通信兵であります」
「通信兵?」
 アレクセイという名の兵士の背中には無線機が背負っていた。
「はい。ですが自分はまだ徴兵されたばかりで・・・」
「大丈夫だ。今は持ってないけど、俺も通信兵だ。教えてやる」
「ありがとうございます」
「おっと・・・敬語はいらないぞ。俺はイワノフ。お前と同じ二等兵だ」
「ソコロフ二等兵だ。よろしく」
「そして俺がミック二等兵だ。バズーカは持ってないけど、対戦車兵だぞ」
「私がこの分隊の隊長、キッパー軍曹だ」
 皆それぞれが簡単な自己紹介をした。
「挨拶これでいいとして、問題なのはこれからどう動くかだ」
 砲撃と人民委員の攻撃のせいで部隊が激減した今、たったこれだけで攻勢に出るなど無茶な話である。
練度の低い連邦兵が続々と投入されて、その分だけ死んでいく。まともな戦いもできずに死んでゆく戦友の姿を見て、ソコロフは不審に思った。
(人民委員が監視でいるのは分かるが、部隊に退却をさせないというのはどういうことなんだ・・・)
 この通りで先ほどの砲撃と人民委員の銃撃で死んだのは4、50人ほど。わざわざ突撃をするのではなく、効率的に動いた方が得なはずだが、やはり人民委員は突撃を繰り返している。
(だとすれば、突撃以外の戦法がこの練度の低い部隊には通用しないということか)
 いつの時代も、兵士は訓練しなければどんな事を頭に叩き込んでも実践することはできない。つまり、今いる部隊はただ単に徴兵されて集合し、そこで軍服に着替えて列車や車で戦地に移動し、そこで降ろされて銃火器を渡されて、そのままわけも分からず攻撃する、という酷い状態なのだ。
「とりあえず、中隊本部に連絡しましょう」
「ああ、そうだな。アレクセイ、イワノフ。無線で中隊本部を呼び出してくれ」
 中隊本部がどこに存在するかも分からない。もしかしたらすでに壊滅している可能性もある。
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